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本書の原題は Wild mountain thyme で十一章末尾の民謡の一節「山かげににおうタイム」にちなんでいる。「愛するひとが去ったなら、すてきなひとをまた見つけよう」(“If my true love, she were gone, I would surely find another”)という、ふざけた歌詞が古い民謡らしい素朴な響きを伝える。湖の向こう岸へのピクニックに快い疲れと興奮を覚えている人々の求めに応じてロディーが吟ずる、この歌の各節は、「娘さん、こないか、ぼくと」というリフレインでつながれ、軽快な節まわしが人々の心をくすぐる。タイムの香り−それは、作者がはじめてサザーランドを訪れたときにすぐ気づいて、心に残ったにおいだったらしい。
………………………………(「訳者あとがき」より) |