………………………………………………………
エンジェル・オーリアリは、うら口のかいだんにすわって、にっこりしていました。
ついこの間までは毎日しかめつらでした。お母さんの友だちのエイリスがやってきては、「この子、笑ったことないの?」と聞いていたほどです。お母さんはそのたびに、「そうなの、いつも親友をなくしたみたいな顔をしているの」と答えていました。
でも今のエンジェルには、親友ができました。名まえはエドナ。それはそれは長く思える年月がたったあと、お母さんがエンジェルに「通りをわたって、この近所から出かけてもいいわ、ときどきはエドナの家にとまりに行ってもいい」といったのです。エンジェルがあたしって永久に家にいて、四才の弟、ボロのめんどうを見ていなくちゃいけないんだと思いはじめた矢先のことでした。
………………………………(「1 オーリアリ夫人の決心」より)
|