【一般】
ヒトと動物−野生動物・家畜・ペットを考える−
動物のいのちを考える
高槻成紀/編著 政岡俊夫・太田匡彦・新島典子・成島悦雄・柏崎直巳・羽澄俊裕/共著
四六判並製332ページ (本体2200円+税)
ISBN 978-4-86065-121-7 (2015.10.10刊行)
〈 『動物のいのちを考える』のテーマと内容 〉
 人と動物のかかわりかたは近年、激変している。本書は現代日本社会で人と動物のあいだに見られるさまざまな問題を、あくまでも事実を通して考えている。人と動物のかかわりは石器時代以来の長い歴史があり、そのかかわりかたは文化の違いによっていちじるしく異なるし、同一文化のなかでも社会の変化とともに大きく変化してきた。さらに近年の社会の激しい変貌は、人と動物のかかわりにも劇的な変化をもたらした。人は、動物とのかかわりなしには生きていけないにもかかわらず、その認識は今日きわめて稀薄になっている。こうした状況をふまえて、本書は、一般の人があまり知ることのない事実を、さまざまな専門的立場から紹介することで、今日の日本社会が動物との関係においていろいろな問題を孕んでいること−−人の身勝手な行為が動物のいのちを弄んでいる状況−−を明らかにする。
 

編著者 高槻成紀さんから
 
私たちは動物のいのちのことを考えています。ペットが殺されたと聞けば悲しみ、絶滅の心配がある動物が復活しそうだと聞けばよろこびます。ところが、一方で私たちはほとんど毎日、魚や家畜の肉を食べていますが、そのいのちを考えることはあまりありません。「考えている」ようで、考えてはおらず、動物によっていのちの重さに違いをもっています。ひとりの人の中でも、いのちへの思いはさまざまですから、人によって違いがあるのは当然のことでしょう。
 本書はさまざまな立場で日々動物のいのちを考えている専門家に、その思いを書いてもらいました。専門家といっても研究者だけではありません。記者である太田匡彦氏はペットの「処理」についての社会の闇に迫っていますし、動物園長の成島悦雄氏は動物園の「内側」からの視点を紹介しています。また野生動物管理の現場にいる羽澄俊裕氏は野生動物と農山村社会の現場と未来について論考しています。動物のいのちといえば、われわれの日々の「食」のことがあり、新島典子氏はこのことに言及しています。やや意外なのは実験動物で、柏崎直巳氏は生命の操作ともいえる人工授精について考察しています。私は福島原発事故と動物のいのちのことを考えました。
 編者として、動物のいのちについてこう考えるべきだと一定の生命観に収斂しようなどとは毛頭考えませんでした。そうではなく、私たちが漠然とわかったつもりになっている動物のいのちについて、さまざまな立場の著者たちが、具体的な事実を記述し、何を考えているかを語ることで、読者にいのちについて考えるきっかけにしてもらいたいと期待したのです。
 閉塞感のある現代社会において、改めて動物のいのちの意味について考えるきっかけになることを期待したいと思います。


■本書目次

まえがき    政岡俊夫
第一章 ペットの売買について−−伴侶動物    太田匡彦
   一 「闇」に消えていく犬たち
   二 衝動買いがひきおこす遺棄
   三 犬ビジネスの構造的欠陥
   四 幼齢犬販売の「罪」
第二章 いのちの「食べかた」を考える−−産業動物    新島典子
   一 食の変化
   二 飼育の現場−食肉の作られ方
   三 食べかた」の背景
   四 「食べかた」の変遷−日本人の肉食文化の時代的変遷
   五 肉食の考え方と向き合い方
第三章 人に見られる動物たち−−動物園動物    成島悦雄
   一 日本人の好む動物
   二 人気動物は作られる
   三 ゾウは猛獣?
   四 動物に名前をつける
   五 環境エンリッチメント−動物を退屈させない工夫
   六 自然とともに生きる自然観
第四章 ラボから始まるいのち−−家畜・実験動物からヒトまで    柏崎直巳
   一 人工授精
   二 体外受精
   三 顕微授精
   四 体細胞クローン
   五 精子、卵および胚の超低温保存
第五章 あふれ出る野生動物との向きあいかた−−野生動物    羽澄俊裕
   一 クマのことを考える
   二 シカのことを考える
   三 カワウのことを考える
   四 新たな時代の野生動物との向き合い方
第六章 東日本大震災と動物−−家畜と野生動物    高槻成紀
   一 悪夢
   二 原発事故と動物
   三 里山の喪失と野生動物
   四 原発事故を起こしたもの
あとがき    高槻成紀


■この本が欲しい方…→こちら(注文)

TOP