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当然のことながら、人と動物の係わりはそれぞれの国の文化、その民族と動物との係わりにおける歴史と深い関係がある。
日本の食文化が世界的な問題として取り上げられているものの一つに、野生動物であるクジラを食べること、すなわち鯨肉食があるが、この問題を論ずる際にまず検証すべきは、対立の構造である。この国際的な対立は、捕鯨を推進したい日本やノルウェーと、それを阻止したい世界の大多数の国々であると考える人が多い。確かに国際捕鯨委員会(IWC)総会をみていると、そのように理解されても無理はないが、一五〇カ国以上が参加するワシントン条約会議(CITES)をみると、ほぼ半数が「ミンククジラの持続的利用」を認めている。アングロ・サクソン系の国々が中心となって、反捕鯨のキャンペーンを展開している四〇数カ国程度のIWCからしか情報を得ていないと、世界の真の対立構造が見えてこないのである。
………………………………(「捕鯨と日本」より) |