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「この本おもしろかったよ!」
1ヶ月に約1冊のペースで朔北社出版部の3人がお気に入りの本を紹介。本のジャンルは様々なので「本を買う時の参考にしてくれればいいな。」という、ひそかな野望がつまっているコーナー。

。本のジャンルは様々なので「本を買う時の参考にしてくれればいいな。」という、ひそかな野望がつまっているコーナー。

【紹介した書籍に興味をお持ちの方へ】 この本は朔北社の出版物ではありませんので、出版状況等に関しましては、お近くの書店、あるいは各出版社にお問い合わせ下さい。

ペットショップへいくまえに

どいかや
  ネコの種類のおはなし

とりごえまり

 コーナーのタイトルとは意味合いは異なりますが、2月22日は猫の日だったこともあり、たくさんの人に知ってもらいたい冊子絵本を紹介します。
 どいかやさんの『ペットショップへいくまえに』http://bikke.jp/pet-ikumae/と、とりごえまりさんの『ネコの種類のおはなし』http://torigoe-mari.net/dl.htmlです。

 我が家の最初のネコは、ペットショップで購入しました。生後7か月のロシアンブルーに一目惚れしたのです。「子ネコ」ではないので半額になっていました。抱っこをさてもらうと店員さんが言いました。「この子は明日までの販売なんです」「売れなかったらどうするんですか?」「普通は保護センター(保健所だった記憶も…)に引き取ってもらうけれど、この子は性格もよく離れがたいので、私が引き取るかもしれません」
 この時はこの会話に違和感も覚えず、一晩考えて我が家に迎えることにしました。翌日ペットショップにいくと、店員さんがとても喜んでくれたことを覚えています。今なら、売れ残ってしまった後を知っていますが、あの時の私は何も知りませんでした。保健所と言われても、それが何を意味するのか想像すらしませんでした。
 そのネコは、気品があり甘えん坊でさびしがり屋で、大切な家族の一員で仲よく暮らしていたのですが、9歳で亡くなってしまいました。最後は腎臓を患い、苦しい思いをたくさんして、辛い最期になりました。もうネコと暮らしたいなんて思えないくらい、悲しいお別れでした。

それから数年後、小社で『動物のいのちを考える』http://www.sakuhokusha.co.jp/book/doubutsu.htmlを出版することになり、原稿を読み始めました。第一章は太田匡彦さんが書いた「ペットの売買について」、原稿を読みすすめることを躊躇するほど、ペット売買のあまりにひどい実態が書かれていました。ペットとして生産され、消費され、売れ残ったイヌやネコが殺処分されていること、ひどすぎる現実を知り、ショックでした。この本では、主にイヌのことについて書いてありますが、ネコだって、もちろん同じです。我が家にきたロシアンブルーも、もし売れ残っていたらこんな運命だったのかもしれないと、ここではじめて思い至ったのです。

 これをきっかけに、色々と調べていた時、どいかやさんの『ペットショップにいく前に』に出会いました。ペット販売のこと、殺処分のこと、残酷でも本当のことがきちんと誰にでも分かりやすく書かれています。最後に、もしネコを家族に迎えたいと思った時、ペットショップではなく、地域の保健所や、保護活動をしているボランティアからひきとることを考えてほしいとあります。保護猫活動のことも、この時知りました。これを読んで我が家では、いつかネコと暮らすときは、保護猫にしようと決めました。
 そして、とりごえまりさんの「ネコの種類のおはなし」も知りました。自然交配で産まれる普通のネコを多くの人が「雑種」と呼びます。でもペットショップで売られている品種名のついたネコ(純血種と呼ばれるネコ)は、普通のネコたちから作られたネコで、どちらも同じ家ネコなんだと書かれていました。そうして人為的交配で作り出されたネコは、病気にもなりやすいと書かれています。知りませんでした。
 とりごえさんが書かれている、はじめてネコを家族に迎えたときのことや亡くなったときのこと、我が家と同じロシアンブルーだったこと、共通点が多く、まるで我が家のことが書いてあるようで驚きました。

 そして半年前、職場近くの保護猫カフェにて運命の出会いがありました。何度もこの2冊を読んで、最後の最後まで一緒に暮らすことを家族で改めて話し、親子のネコを2匹、引き取りました。

 そんな中で、少し前に、こんな記事を目にしました。
◎あまりに酷いペット店頭生体販売の実態。動物好きのスタッフも壊す惨状
https://hbol.jp/206210?cx_clicks_last_artmdl=title
太田匡彦さんが取材を始めたのは2008年。『動物のいのちを考える』の「ペットの売買について」には、2015年の頃のことまでが書かれています。法改正もあり、あれから、少しずつ改善しているのかと思っていたのですが、なんにも変わっていないことに、呆然としました。私がそうだったように、世の中にはこの事実を知らない人が大勢いるのでしょう。それは、知るきっかけがないだけで、知らなければ何も行動できないのです。知ってもらいたい、自分にできることは何だろうかと考えました。本当に小さいな一歩だけれど、ここでこの2冊を紹介しようと思ったのです。
1人でも多くの人に、この2冊を見てもらいたいと願っています。
(文:みなりん)