喫茶店にて、ほんのちょっと落ちこんだ気分で椅子に座ったら、目の前に立てかけてあった可愛らしい表紙の本が目に飛びこんできた。
ぱらっとめくって偶然開いたページの言葉が、そのときの私の気持ちにふと寄り添う。2度、3度と同じ席に座り、幾度かおんなじことを繰り返し、運命だと思ってこの本を手に入れた。
イラストレーターでエッセイストの田村セツコさんの書き下ろしのエッセイは、いつまでも楽しくおちゃめに日々を過ごせる方法をすてきな言葉とともに教えてくれます。
―自分の身に起こることは、全部、素晴らしいこと。嬉しいことも、悲しいことも、イヤなことも、ツラいことも、何でも自分の栄養になることばっかりよ。―
なかなか前向きになれない私でも、まえがきに書かれたその言葉に「確かにそうよね」と頷いた。
ぱらっとひらいて、そのときに元気をもらう。
最初から順を追って読まないと気の済まない私にしては、不思議な読みかたをしている。時々、順を追って読んでみるのだけど、ピンとこなくて、ぱらぱら~、ぴっと開いたページを読むと、とってもしっくりくるのです。
私が落ちこんでいたら手をひっぱって外に連れ出して「はい!しんこきゅう」って言ってくれる、隣でポポンっと肩を叩いて「大丈夫!」って言ってもらってるような、いつでもそこにセツコさんがいるみたい。そんな気持ちになるエッセイ集です。
帯に黒柳徹子さんが、セッちゃんて最高!って書いているけれど、本当にその通り。こんなに最高にすてきで可愛らしい人が少し前を歩いていると思うと、とっても心強くて、私もこんな風に年を重ねていけたらすてきだなと思うのです。
(文:みなりん) |