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「この本おもしろかったよ!」
1ケ月に約2冊のペースで朔北社の社長である宮本と出版部の計5人のお気に入りの本を紹介。本のジャンルは様々なので「本を買う時の参考にしてくれればいいな。」という4人のひそかな野望がつまっているコーナーです。

中国共産党、その百年
筑摩選書

石川禎浩/著


筑摩書房 2021

 結党から100年経つと、とにかく100年間存続してきたことは事実なので、どんな出来事せよ、当時は取るに足りないことでしかなかったのに、改めて吟味されそれなりの意味が付与される。100年を通観して、出来事を配列し、関係者を数え挙げてその関わりを考察し、意味を考える。そういう作業を、本書はバランスよく行っている。
 共産党の結党自体、中国の近代史と切り離し難い出来事なので、本書を読むことにより、中国近代史を知ることになる。本書の記述により、今日の中国のニュースを聞いたときにその背景の事情がわかるし、ニュースの意味をより的確に掴むことができる。
 現代中国の共産党首脳が結党以来100年間に、どんなDNAを受け継いでいるかというと、著者は次のように言う。


 「党がすべてを決定する」。それはスターリンのソ連共産党がそう言い、毛沢東がそう言い、そして今また習近平もそう言っているフレーズであり、つまり、この党に長らく受け継がれてきたDNAの最たるものである。

このDNAを端的に発揮したのは、100年の前半を支配した毛沢東である。結党当時の同士で、最後まで生き残ったのは周恩来ただ1人である。他の人びとは、毛沢東の権力に逆らって無惨な最期を遂げなければならなかった。
 彼らは毛沢東に逆らったというよりは、政策の転換を提案する行動に出たのだが、毛沢東は自身の誤りを認めず、彼らを権力により冷酷に排除した。毛沢東の誤りを繰り返さないために、集団指導体制など様々な制度上の改革をしたケ小平も、共産党の一党支配を断固として維持する道を選んで、趙紫陽を排除した。そして現代の習近平も毛沢東を模範に、同じ路線を歩んでいる。

 本書を読むと、現代中国が目指している社会は、オーウェルの『1984年』を想起させずに置かない全体主義管理社会だと考えざるを得ないのは何とも恐ろしいことだ。(文:宮)

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