出口さんの描く絵は可愛いけれど、どこかシュールだ。客観的に何かを見ている視点があり、なんだかいいなぁと思う。登場人物(動物)たちは表情豊かだ。表情とは顔だけでないことが出口さんの絵をみているとわかる。手の先や、足元、後ろ姿にもその表情は現れる。
この本は言葉の辞典だ。辞典なんて世の中に沢山あるが、なんと…繰り返す言葉、本の中でふたご言葉といわれる言葉だけをあつめている絵辞典なのだ。ふたご言葉はとても便利だ。日常の中で、使わない人は、たぶんいないのではないだろうか。生まれた時から日本人はみんなこのふたご言葉と生きてきたと言っても過言ではないだろう。
右開きの本の造りは右側に言葉とその意味、文例があり、左にはその様子をあらわす絵が描かれている。文例と絵は一対になっていて、どんな時に使うかは著者の感性そのもの。辞書なのに見ていて楽しくなる。どれも知っている言葉ばかり。出口さんの例文を見ながら、わたしなら…と自分で例文を作ってみるのも楽しいかもしれない。
二度繰り返すふたご言葉には大きくわけて、音や声を言語化した「擬音語」、音がしないがそれらしい音で表現した「擬態語」、そして感情を表す「感嘆詞」の3つの種類があると編集を担当した谷口さんは言っている。そして曖昧な表現なのに共感できる言葉だと。
こういう言葉があることで痛みとか、感情とか、音とか、置かれている状態などの微妙なニュアンスを表現できる。そのことは、すごいことではないだろうか。そういう言葉を作った、いつの時代かははっきり分からない昔の人になんだか感謝したくなってしまった。笑いながら読んだこの辞典だけれど、改めて言葉がもつ力を感じてちょっと感動している自分がいるのだった。(文:やぎ) |