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「この本おもしろかったよ!」
1ケ月に約2冊のペースで朔北社の社長である宮本と出版部の計5人のお気に入りの本を紹介。本のジャンルは様々なので「本を買う時の参考にしてくれればいいな。」という4人のひそかな野望がつまっているコーナーです。

民主主義を信じる

宇野重規/著

青土社 2021

 本書は、著者が『はじめに』に書いているように、東京新聞に2016年から2020年まで連載した「時代を読む」を集めたものである。政治学者である著者が、書名を「民主主義を信じる」と名付けたことは、本書を読むものに強い印象を与える。あえて「信じる」と言い切ったところに著者の半端でない意思を感じる。毎月1回の連載は、その時どきの政治、社会問題をとりあげているので、時を隔てて問題を再度考えるよいきっかけを与えてくれる。
 トランプ大統領の当選に始まり、その政権の終わりに至る時期をあつかっているが、その5年間は世界の民主主義にとって「危機の5年間」であったばかりでなく、日本の民主主義にとっても困難な時期であり、政治学者としての著者の思索の過程が込められている。著者は「あとがき」で、このように本書の性格を総括しているが、その言に恥じない内容であり、書名と呼応しているのだ。(文:宮)

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