ここに書かれたジャーナリスト清沢洌の言葉を、忘れずに過ごしている。
『清沢は「けさ開戦の知らせを聞いた時に、僕は自分達の責任を感じた。こういう事にならぬように僕達が努力しなかったのが悪かった」と、感慨をもらした。』(本文から引用)
この本は、昭和16年12月8日太平洋戦争が勃発した日、当時の知識人や著名人、政治家が何を考え、どう感じたのかを、それぞれの日記や回想録などから抜粋し掲載している。始まりがいつもと何ら変わりない日常の延長線上にあったこともわかるが、この人が?と思うような人が、その始まりに喜んでいたり、興奮していることには、やはり驚く。当時、その渦中にいれば、それは特別なことではなかったのかもしれない。解説で武田砂鉄さんも書いているが、清沢洌のような考えを持つ人が稀だったのだ。
だけど、私たちは知っている。
それが二度と繰り返してはならない過ちだということを。
戦争が、地球上から忽然と消えてなくなることは、難しいだろう。緊張感も持ち続けなければならないのかもしれない。だからこそ、おこらないように、おこさないように、私たちはひとりひとり努力しつづけるしかない。
太平洋戦争が敗戦し終わったことを知る私たちが、その戦争の始まりとはこうだったのだと知ることに、とても意味があると思う。たくさんの人に読んでもらいたい。タイトル通りの朝を迎える日が、2度とこないように。
最近の日本をみていると不安は募るばかり。清沢洌の言葉は、決して戦争に限ったことではく、核爆弾、原子力発電所の再稼働、そして今まさにコロナ禍の今日だって、同じことが言える。想像力を最大限に働かせ、目を見開き、よく考え、「こういう事」にならないように、間違っていることは間違っていると言わなくてはならないと強く思う。
(文:みなりん) |