タイトルと表紙から、どんなおはなしを想像しますか?
フィンランドのとある小さな村で開かれたサンタ協会の会議。各国それぞれの支部からサンタが集まってきます。現会長のアメリカ支部のサンタは今日で引退。そこで会長から紹介された後任のサンタ候補は、女性でした。各支部のサンタは全員男性、驚きを隠せません。困惑する一同、話し合いははじまります。女性サンタへの否定的な意見をはじめ、さまざまな意見がでて、議論は続きます。全員が賛成しないことには、サンタにはなれません。そんな中、会長が一言。
「なぜサンタクロースは男性だときめてかかるのかね」 さて、結果はいかに?女性初のサンタは誕生するのでしょうか?
まさに今、世の中で起こっている、性差別、人種差別、性別による役割の違いや職業差別などがテーマになっています。東野圭吾さんらしいチクッとしつつ、クスッと笑えるおはなしは私の好きな『笑小説シリーズ』通じるものがあり、そこにかわいらしく、時折ユーモアのある杉田さんの絵があわさり、読後感は爽快です。そして思いました。現実の世界でも、こうやってさまざまな国や人が話し合って理解を深め、一歩前にすすむことはできないのだろうか? 国が違えば文化も考え方も違う、性別も人種もみんなそれぞれ、いろんな意見があるのは当たり前。みんなが少しずつ歩みよることは、そんなに難しいことなのか‥‥。いやいや、できるだろうと思わせてくれる本です。心からおすすめする1冊!!
(文:みなりん) |