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「この本おもしろかったよ!」
1ヶ月に約1冊のペースで朔北社出版部の3人がお気に入りの本を紹介。本のジャンルは様々なので「本を買う時の参考にしてくれればいいな。」という、ひそかな野望がつまっているコーナー。

。本のジャンルは様々なので「本を買う時の参考にしてくれればいいな。」という、ひそかな野望がつまっているコーナー。

【紹介した書籍に興味をお持ちの方へ】 この本は朔北社の出版物ではありませんので、出版状況等に関しましては、お近くの書店、あるいは各出版社にお問い合わせ下さい。

サンタのおばさん

東野圭吾/作
杉田比呂美/画

文藝春秋

2001年

タイトルと表紙から、どんなおはなしを想像しますか?

フィンランドのとある小さな村で開かれたサンタ協会の会議。各国それぞれの支部からサンタが集まってきます。現会長のアメリカ支部のサンタは今日で引退。そこで会長から紹介された後任のサンタ候補は、女性でした。各支部のサンタは全員男性、驚きを隠せません。困惑する一同、話し合いははじまります。女性サンタへの否定的な意見をはじめ、さまざまな意見がでて、議論は続きます。全員が賛成しないことには、サンタにはなれません。そんな中、会長が一言。
「なぜサンタクロースは男性だときめてかかるのかね」
さて、結果はいかに?女性初のサンタは誕生するのでしょうか?

まさに今、世の中で起こっている、性差別、人種差別、性別による役割の違いや職業差別などがテーマになっています。東野圭吾さんらしいチクッとしつつ、クスッと笑えるおはなしは私の好きな『笑小説シリーズ』通じるものがあり、そこにかわいらしく、時折ユーモアのある杉田さんの絵があわさり、読後感は爽快です。そして思いました。現実の世界でも、こうやってさまざまな国や人が話し合って理解を深め、一歩前にすすむことはできないのだろうか? 国が違えば文化も考え方も違う、性別も人種もみんなそれぞれ、いろんな意見があるのは当たり前。みんなが少しずつ歩みよることは、そんなに難しいことなのか‥‥。いやいや、できるだろうと思わせてくれる本です。心からおすすめする1冊!!
(文:みなりん)