系外惑星というのは、太陽系以外の惑星のことで、すでに数千個発見されている。太陽系以外にも惑星が存在するのではないかということは、そもそも太陽がごく平凡な恒星であることから、銀河系(天の川)だけでも数千億個ある恒星のなかに、惑星を持っているものがあるに違いないと言われてきた。しかし、あくまでも想像・推理の上のことでしかなかった。それが1995年に「ホット・ジュピター」(熱い木星)とよばれている系外惑星が発見されて以来、状況が一変した。ホットジュピターは恒星(中心星)を3〜4日で1周するぐらいの至近距離を回っている惑星である。ジュピターと呼ばれているのは、太陽系の木星と同じく大部分がガスでできていて大きさも地球などより木星に近いからだ。木星のようなガス体の巨大惑星が、中心星の至近距離を回っているはずがないという、太陽系に関する知識が邪魔をして発見が遅れたらしい。一度発見されると、探査技術はすでに高度に進んでいたので続々発見された。過去のデータを再点検しただけで発見された惑星もたくさんあるそうだ。現在は探査技術の進歩もあって、地球型の惑星も多数発見されている。どうやら殆どの恒星は惑星を持っているといってもよさそうなのだ。
この本でおもしろかったことが2つある。ひとつはさまざまな探査技術の紹介がされていること。目に見えない惑星を一体どうやって発見するのかという疑問に答えている。技術的な部分はすべて理解できるわけではないが、技術の進歩が発見を後押ししているだけでなく、研究者のアイデアが大事だということがよく分かる。
2つ目は中心星・惑星システムの成立や変化をコンピュータによる推理・計算で説明できるようになってきたこと。太陽系では惑星は同一平面を同一方向に回転しているが、発見された系外惑星の中には、一つだけ逆方向に回っていたり、同一平面でなく平面に垂直のめんで回転しているものがある。これをアイデアと計算によって、原因まで推理・指摘できるようになった。
地球中心主義や太陽系中心主義ということが話題とにされていて、背景にはキリスト教文化があるというが、この本に限って私には文化的な背景より、未知の世界に挑む研究の面白さが印象的だった。現在進行中の分野での、じつに血湧き肉躍る発見、理論化が日々進められていて、研究者は面白くてしかたなかろう。当分目をはなせません。(文:宮) |