この本は、アメリカで40年前に出版された本で、ニューヨークの新聞社の人気コラムニストが、妻と役割を交換し、仕事をやめて「主夫」となり、家事と子育てに奮闘する1年間の実録エッセイだ。
妻のコリーヌが働きはじめ、やがてそのビジネスは成功し、夫のマイクは「主婦」を失い、仕事をやめて「主夫」となる。慣れない家事や育児をこなし、ときに失敗してこんなはずではないと落ちこみ、成功すれば大いに鼻高々になる。徐々に上手くなることもあれば、いつまでたっても上手くならないこともある・・・。役割を交換すれば、こうなるだろうなと、楽しく読みすすめた。最後は、この一年の悪戦苦闘を総括して、今後の家族のあり方について、契約をまとめるという形で終わっている。
たった1年でも、それぞれの役割を交換することは、日本では、まだまだ難しい。それに、役割を1年交換したぐらいでは、妻の本当の大変さを理解することはできない、と私は思っている。それでもこの本を読んで疑似体験すれば、ほんの少し、お互いの大変さを知ることができるかもしれない。
5〜6年前の話だが、「イクメン」という言葉がはやった。育児するメンズ(男性)、本来の意味するところは、育児休暇をとったり、積極的に育児(家事)に関わる父親なのだろうが、「イクメンなんで、日曜日に子ども連れて公園に行ってます」とか、「早く帰った日はお風呂いれてます」ぐらいの人が多く、それは男女問わず親の役目なのでは?と思ってしまっていたが、そのくらいしかできないのが、現実だったのだろう。
時が経ち、最近は「ワーママ」という言葉がはやっている。「ワーキングマザー」子育てにいそしみながら、仕事をする女性のことだ。「ワーママ」なんだから特別扱いしてほしいという発想につながっていて、私はあんまり好きじゃない。私も働く母親だけれど、特別扱いしてほしいわけじゃない。
男女が、何事においても100%平等になることは難しいのだろうが、男性が普通に育児休暇を取ることができる、働くママが特別扱いされることもない、家をしっかり守り抜く母親ももちろん分け隔てなく、いろんな環境やいろんな状況が当たり前となり、これからの人たちが、子育てしやすい世の中になればいいなと思う。
そんなことも含め、この本を読みながら、いろんな事を考えた。働く母親にオススメしたい1冊。(文:みなりん) |