学童に通う子どもがいる親に、ぜひ読んでほしい一冊である。
タイトルから、やや難しそうな本に感じるかもしれないが、内容はわかりやすく、参考になり、そして、おもしろい。
この本は、東京小金井市が運営する学童保育所を、民間に委託するという話がでた事をきっかけに、学童保育所に通う児童の親が、「子どもの居場所」=学童保育所が「子どもの行きたがる場所」であり続けるように、自治体とやりとりを続け、成果をあげた道程を書いたものである。
現状に問題点を見つけ、不平不満をいうのはとても簡単だが、それを変えるのは、とても難しい。現状を変える為には、まず自らも声をあげ、そこに関わらなくてははならないと改めて感じた。そして、それぞれの親が、適材適所で力を発揮し、一つの目標に向かうことで、団結力も生まれ、結果につながっていく。
本を読み進めていくと、「子どもの居場所」である学童保育所が、「子どもの行きたい場所」になっていることが、よくわかる。そして、「親の居場所」も出来上がっていく。実は、これも、とても羨ましい。
保育園や幼稚園とは違い、学童は必ず親が送迎をするわけではなく、1人で帰宅する子も多い。そうすると、親同士顔を合わせる機会もなく、交流もない。同じ境遇であるからこそ、情報交換や深い話もできるはずなのだが、どう交流を持てばいいかわからず1年が経ってしまった…。
学童に通う小学生の子どもがいなければ、「学童」についての知識は、ほとんどないのではないかと思う。私自身、子どもの小学校入学の半年程前に知ったくらいで、どんな場所なのか、どんな制度なのか、どんなことをして過ごすのか、全く知らなかった。
私の子が通う学童は児童館に併設されていて、学童に満足しているかどうかと聞かれれば、ほぼ満足しているというところだろうか。児童館併設いうこともあり、色々なイベントやワークショップが開催されたり、遊ぶ場所もあり、子どもも楽しく通っている。
それでも、春休みも夏休みも冬休みも休むことなく、毎朝学童に向かう後ろ姿をみて、朝寝坊したり、夜更かししたり、休みの日が休みの日ではないことに、「ごめん」と思うこともある。だからこそ、「子どもが行きたがる学童」であってほしいと、親は願う。
この本の中に、数年前のこの地域の学童のことが書かれていたが、大変だったようだ。現在の状況に変えるために、頑張ってくれた人たちがいるのだと思うと、頭が下がる。
読み終えて、私も何かできることはないかと考えた。考えるほどに、小金井市の保護者は、「すごい」の一言。「ささやかな成果」とご本人達はいっているが、そんなことはない。地域に「こども居場所」も「親の居場所」も作ったことで、これから多くの人が助けられるだろう。そして、今も活動は続いていると思う。
子ども、親、自治体、地域の人とのつながりを、面倒だなと思う人も多いだろうが、こんな時代だからこそ、本当に必要不可欠だと思う。
私にも何かできるだろうか?(文:みなりん) |