アーカイブス
「この本おもしろかったよ!」
1ヶ月に約1冊のペースで朔北社出版部の3人がお気に入りの本を紹介。本のジャンルは様々なので「本を買う時の参考にしてくれればいいな。」という、ひそかな野望がつまっているコーナー。

。本のジャンルは様々なので「本を買う時の参考にしてくれればいいな。」という、ひそかな野望がつまっているコーナー。

【紹介した書籍に興味をお持ちの方へ】 この本は朔北社の出版物ではありませんので、出版状況等に関しましては、お近くの書店、あるいは各出版社にお問い合わせ下さい。

免疫学個人授業 


多田 富雄/著  南伸坊/著


新潮文庫


生まれながらにママから免疫をもらっている赤ちゃんは、その効果で生後6カ月ぐらいまで病気にはならないと聞き、「免疫」という言葉に、とてつもない威力を感じ、それまで、全く興味のなかった「免疫」や「免疫力」などが、すごく気になる言葉になった。

我が子は、6ヶ月と言わず、保育園に預けるまでの1年半、熱も出さず、体調も崩さなかった。免疫力が高いのかな?なんて思いつつ、いざ保育園に預けて仕事に復帰すると、それはもう驚くほどに、体調を崩す。最初の1ヶ月は、保育園終わりに毎日のように病院へ行っていたし、その後の1〜2年は、あらゆるウィルスや細菌の病気に順番にかかり、本当に大変で、挫けそうな毎日だった。

そんな中で目にしたのが、「天声人語」の亡くなられた免疫学者の多田富雄さんの著書「落葉隻語」を引用して、子育てについて書かれた記事だった。
『「子どもがたまに発熱したり下痢したりするのは、黴菌との戦い方を習得しているからである。‥‥成長の時期にここで戦い方を学習しないと、雑菌に対する抵抗力が弱くなり、逆にアレルギーを起こしやすい体質になる」と。そして「免疫学者の私が言うのだ。信じていい」』

多田富雄さんのことを色々と調べると、どんどん興味がわいてきた。「落葉隻語」をはじめ、読みたい著書は多々あったが、全く知識のない私がまず読むのにどれがいいかと考えて、この本を選んだ。
多田富雄さんが先生となり免疫学について個人講義したものを、生徒の南伸坊さんがノートにまとめた形で書かれている。講義は全部で15回、各講義のノートの後ろには「先生からの一言」もある。
(南さん曰く)多田富雄さんがわかりやすく丁寧に講義してくれたことを、さらに南伸坊さんがユーモア溢れるわかりやすい文章で面白く書いているのに、私には、???となってしまうことも多く、私の理解力のなさと知識の少なさにがっかりしては、ページをさかのぼって、ああ〜と頷いて、また戻ってという、行ったりきたり、考えたりの頭を使いっぱなしだったが、とても面白かった。
これを読んで「免疫学」がわかるというよりも、「免疫学」がなんだか面白そうなことは分かったという、さあ、次の少し難しい本に手を伸ばしてみようと思わせる本だった。

天声人語にかかれていた、多田富雄さんの言葉。
その真っ只中にいた当時は、正直「信じられない」と思っていたけれど、その後、年少、年中、と数日休んだだけ、年長に至っては、皆勤賞。
小学生になった今も、休まず元気に学校に通っていて、小学校六年間で皆勤賞を狙うんだと張り切っている。おかげさまで、丈夫で、アレルギーもない。
どうやら、黴菌との戦い方を習得したようだ。

次は、「落葉隻語」を読もう。(文:
みなりん