私は西村敏雄さんの絵本が大好きで、彼の絵本が出るとなんとなく一度は本屋で立ち読みしてしまう。そういえば穂高さんもわたしの好きな『さるのせんせいとへびのかんごふさん』(ビリケン出版)なども手がけているし、どちらも好きな作家なんだなと気づく。お話つくりがうまい作家さんなのだろう。
今回のこの本は穂高さんが文を西村さんが絵をかいた合作なのに、なんとゆるぎのないコンビネーション!というのがわたしの素直な感想だ。穂高さんの楽しいお話に、西村さんの描くあたたかくて、どことなく土のにおいがしそうな色合いの絵。そして登場人物のとぼけたところがすきなんだなあと思う。この絵本の中では牢屋に入れられた3人のどろぼうたちが知恵をしぼり脱走を企てる。牢屋を抜け出すために考えついたのが変装して守衛の目をくらませて抜け出すこと。3人のうちの2人が組みになり、ありえない変装で守衛をだまし、まんまと外の世界に出るというお話なのだ。えーそれでだまされる?!というちゃちな変装…だとわたしは思うのだけれど。わたしとおなじようにどろぼうの3人のうちの1人もそう思ったみたいだ。でも…うまくいってしまうのだから…あれがうまくいくなんて、じゃあオレも…と思うのも無理はないだろう。そして最後の1人もべつのものに変装して牢屋を抜け出してしまうのだから、おい守衛よ大丈夫かともいいたくなる。読み終わって表紙をみると、ああこの顔の特長だから、この変装だったのね!と、納得する風貌だった。そして…ラストは…。思わず笑ってしまう大好きな一冊です。(文:やぎ) |