私立探偵スペンサーは、過激なフェミニズムの本を出版する出版社の依頼で、殺すという脅迫に曝された著者レイチェル・ウォレスのボディガードを依頼された。レイチェルは、過激なフェミニストでありレズビアンであり、敵をたくさん持っているが、それに立ち向かっていく強い女性である。一方スペンサーは古くさい男っぽさを信条にする強い男であるから、二人はプライヴェートにはけっして相性がよくない。しかし依頼されてスペンサーはその気になって、ボディガード役を務める。スペンサーは教養溢れる探偵でもあるから、物語の前半部分で、レイチェルはじめ登場人物と理屈っぽい議論をする。(スペンサーシリーズを読んだことのある人は、スペンサー独特の思想、議論好きと腕力主義の同居を知っているはずだ)
レイチェルは図書館友の会主催の講演会に出かけるが反フェミニズム運動に妨害される。当然の権利に基づいて活動しているだけと真っ向から立ち向かうスペンサー。現場の警察官の判断で事なきをえたが、このときに限らずスペンサーは反対陣営の誰かれとなく衝突し、その行動が気に入らないレイチェルとさらに衝突する。結局、とあるブラック企業のイベント会場での衝突で、「非暴力の抵抗」をしようとするレイチェルを無視して腕力にものを言わせたために、ついに馘首されてしまう。恋人のスーザンに窘められ、慰められ、反省しきりのスペンサーであったが、そのあげくにレイチェルが誘拐されてしまった。スペンサーはレイチェルを発見するために、こんどこそ体を張って行動し始めるのである。
作者のロバート・パーカーは、いつものスペンサーものの面白さにフェミニズムをからめた物語の展開で、相変わらず読者を飽きさせない。(文:宮) |