「この本おもしろかったよ!」

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1ケ月に約2冊のペースで朔北社の社長である宮本と出版部員のお気に入りの本を紹介。本のジャンルは様々なので「本を買う時の参考にしてくれればいいな。」という、ひそかな野望がつまっているコーナー。

【紹介した書籍に興味をお持ちの方へ】 この本は朔北社の出版物ではありませんので、出版状況等に関しましては、お近くの書店、あるいは各出版社にお問い合わせ下さい。

平和への夢 現代ドイツ
統一後の知的軌跡


三島憲一/著

岩波新書
(岩波書店)

 本書は1989年のベルリンの壁崩壊から今日までの20年足らずのドイツを、とりあえずの対象にして、哲学、文学、芸術などの人文的研究と、EUに端的にみてとることができる政治・経済の分析との関連をつねに意識して、知識人の論争を紹介しながら、現代ドイツのかかえる諸問題を解説している。
 現代ドイツのかかえる諸問題とは、たとえば、ドイツ統一の際の手続きや、ネオナチの暴力の問題である。ネオナチの暴力の問題には、トルコその他の国からの労働者移住問題、それにからんだ庇護権の問題、つまりはナチスとユダヤ人問題が背景にあることがわかる。
 持続的な観察によって整理されたドイツ事情についての解説は、新聞を読みテレビニュースを見ただけでは充分にはわからない、ドイツの事情やその背景の問題を教えてくれる。
 特定の地域やテーマについての持続的観察、研究の重要性を再認識させてくれる本である。
(文:宮)