育児休業。産休と並んで女の人のイメージが強いお休みである。男の人は産休を取ることは体の構造的に難しい。というか無理だ。だから育休なのだ。この本の中では6人の男の人達が妻にかわり、育休を取った主婦(夫)、と育児の日々を綴っている。
最近では男の人が育休を取るという話を聞くことも昔に比べたら増えているのだろうか?しかしまだまだ平等な感じはない気がするし、もし夫が育休をとるとなったら周囲にびっくりされそうである。
この本の中でも比較的スムーズに育休に入れた人(周囲の理解がある)、多少引き留められた人などいてホント様々である。しかし、育休を取ろうとするとき、周りの人の理解だけにすがるのは間違っているのだろう。この本で紹介されている人たちがまず、何をしたかというと、自分の意志を周りに伝え、周囲に理解してもらう努力をかかさなかったことと、周囲の人達への感謝を忘れなかったことが成功への結果に繋がったのではないだろうか?と感じた。それは、男も女もなく、女の人も当然の権利と主張だけしていたら、皆で協力してやっていかなければならない会社という組織のなかでは疎まれるだけになってしまうだろう。自分が休むということはその間に他の人達に少なからず負担がいくこともあるし、そのための人事異動なども考えられる。できるだけ早い時期に意志を伝えスムーズに仕事の引継ができるように心を配るという配慮は大切なのだなと、体験談を読みながら経験者でないわたしもその場にいたような気持ちにさせられた。
男の育児も女の育児も基本的にはなんらかわらない。男は産めない体であることと、おっぱいが出ないということの他は…。子どもをかわいいと思う一方、思い通りにいかなくてしゃべれない赤ん坊と自分だけの時間に意志の疎通に悩み少なからずストレスをため、帰ってきた、夫、もしくは、妻に向かい、一日の他愛ない出来事に耳を傾けてもらいたいと思っている。そして、疲れてかえってきた夫、もしくは妻はそんなことどうでもいいじゃないと思ったり…、ただ「ハイハイ」と相づちをうちながら、もくもくと食事したりするのだ。だけど、経験というのは、本当にしてみると初めて実感としてわかるもので、聞いているのとやってみるのとでは大違い。二人とも同じ経験をしてみるとお互いの気持ちの動きが一方側から見たときよりも理解できるのだなあと6人の体験談から思ったのだった。とにかく楽しく読めるので男の人も同性の彼らがどんな風に子ども達と妻とすごしてきたのかを読んで見てほしいなあと思うのであった。
ある家族の休日の一コマが印象的であった。
家族で散歩に出かける一家。たわいない話をしながらのんびりと20分もあるいたところで息子のH君が振り返り家族にこんな事を言ったという「いつまでもいつまでも、このままいけたらいいねぇ」とにっこり。ほほえましい光景だなあ。子どもがいると毎日目まぐるしく過ぎていくのだろうけれど、こんな一コマに親はいつもの苦労も忘れるのだろう。(文:やぎ) |