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モンゴルの歴史 遊牧民の誕生からモンゴル国まで

宮脇淳子/著
刀水書房
現在モンゴルと呼ばれている地域の歴史である。元来遊牧生活をしていた人々だからそもそも国家の領域が一定していない。したがって通史を書こうとすれば西はヨーロッパから東は極東までを駆けめぐった幾多の民族や国家を相手にしなければならない。この本はそれを大胆にやってのけた。また、かなり自由に脱線してわれわれが抱いているモンゴル・イメージを事実に基づいて訂正したり裏書きしたりする。義経ジンギスカン説なども、そのてんまつが明かされている。
モンゴルから世界を見ているから東アジア・中央アジアの歴史が別の色あいをおびて立ちあらわれる。たとえば、元の歴史は中国の歴史だけでは分かったことにならないということがよくわかる。ともあれ今日のモンゴル国に至る地域の歴史が読みやすい文章によって描かれている。なお、この本の紹介を兼ねて『刀水』7号(本書の版元・刀水書房のPR誌)に載った「対談 モンゴルとは何か?」は、日本とモンゴルとの深い関係について温かく的確に伝えていて、本書とともに一読に価する。(文:宮)