「この本おもしろかったよ!」

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なんでも見える鏡 ジプシーの昔話

フィツォフスキ/再話 内田莉莎子/訳 スズキコージ/画
福音館書店
ススキコージさんの絵が大好きで、子どもと本を選ぶときにはついつい目がいってしまう。その中でもこの本は図書館で見つけた本で今は絶版で書店では扱っていない。表紙からも分かるように本からはみ出してしまいそうな絵と、何やら期待させられる右後ろの怪しげなアリの王さまと登場人物も型破りなのである。この画像では分かりにくいが、全ページが油絵で描かれている。

物語は昔からある語り継がれた昔話で、「世界中のものを映し出してしまう『なんでも見える鏡』を持っている王女からかくれて、最後まで見つからなかったものが王女の夫になれる。」というおふれがでていました。主人公のジプシーは、ぎんいろのさかな、わかワシ、アリの王さまの力を借りて色々なところにかくれますが…。

何しろこの絵で描かれ、訳者も「てぶくろ」や「おおきなかぶ」(福音館書店刊)などで知られている内田さんなので話と絵にグイグイ引き込まれていく。子どもに何度も何度も「読んで!」とせがまれて一時は私の方が読み飽きてしまうほどだった。よっぽど惹きつけるものがこの絵本にあったのだろうか?


子どもが幼かった頃は良く一緒に図書館へ出かけて本を借りていた。色んな本を読みたいときには図書館は便利である。そこで子どもに本を選ばせるのはとても興味深い。まずは表紙で選んできて少し中をパラパラとめくる。面白そうだと判断すると借りる。その時の気分で読みたい本が全く違ったり、同じのを何回も何回も借りたり…。

1回読んで満足して2度と読まなくなってしまう本も山ほどたくさんあるが、その中でもこの本に関しては図書館に行くと毎回必ず借りる時期があった。毎晩、毎晩、夜寝る前にこの本を読まされるのである。図書館は決められた期間しか借りられなくて、一旦は返すもののまた同じ本を借りる。そんな状態を1ヶ月半くらい続けていて、そんなに好きなら本屋で買おうと思ったら売っていない。インターネットで調べると絶版なので古書店でやっとのことで手に入れた1冊である。そんな風に出会える本もあるんだな〜と思える1冊である。(文:リュウ)