「この本おもしろかったよ!」

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おしいれのぼうけん

古田足日・田畑精一/作
童心社
小学校低学年の頃、2段ベットに憧れて押し入れの上段に布団を敷いて寝ていたことがある。そんな頃に出会って何度も何度も読んだ本だ。
さくらほいくえんにはこわいものがふたつあります〜 の書き出して始まっていて一つは押し入れ、もう一つはねずみばあさんです。先生の言うことを聞かないと「ごめんなさい」をするまで押し入れに入れられてしまうというお仕置きがあって、怖いと恐れられているのである。大人になって冷静に読んでみるとなんで怖かったのかとも思われるが…。そしてもう一つのねずみばあさんは人形劇に出てくる怖いおばあさんである。
押し入れに限らず、子供の頃は壁や天井のシミ一つとっても顔に見えたり、真っ暗で狭いところに閉じこめられると誰かが見ているような気がしてみたりと怖い事だらけだった。でも主人公のあきらとさとしは先生にしかられて押し入れに入れられても二人で励まし合ってなかなか押し入れから出てこない。しかも、押し入れの中の異次元の世界へ冒険の旅に出かける。主人公の二人と一緒に自分もまるでねずみばあさんやねずみ達に追いかけられているかのような錯覚を起こしてしまう。一人だったらできない事も友達と協力したり、励まし合ったりして、困難も乗り越えていくのだった。
この本は30年以上ずっと読み継がれているロングセラーの本で、もっと古さを感じるのかと思ったが子ども心をくすぐるテーマをいっぱい持っている。かくいうわが家の押し入れも、子ども達が遊びに来ると秘密基地と化し、すっかり遊び場にされてしまっている。それを見るたびに、この本を思い出すのであった。(文:リュウ)