「この本おもしろかったよ!」

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The Wheels on the Bus

Paul O. Zelinsky/作
Donna L. Brooks/編集
Dutton Children’s Books
こちらはしかけ絵本。日本にも仕掛け絵本は沢山あるが、やっぱり本場は外国のものなのか?とくにアメリカやイギリスのものは作りも凝っていてページをめくるのが楽しくなってくる。簡単なしかけものもあるが、しかけ絵本の醍醐味は、あちこちに気の利いたしかけや、意表をつくしかけを見つけて動かしたり開いたりして楽しめるものにこそあるような気がする。まるで中身を知らないおもちゃ箱の中から自分のお気に入りを探し出している時のような気分になるのだ。

一口に仕掛け絵本といっても「ぴん」から「キリ」まであるが、簡単だから「キリ」だというわけではなく、その人がどれだけ楽しめたかとい点できまってくるから、ある人には「ぴん」のものも、人が違えば「キリ」にもなりうる。仕掛け絵本は作る手間もかかれば、コストもかかるので日本でも手がけている出版社はあまり多くないのではないだろうか。有名なところでは大日本絵画がかなり多くの種類のしかけ絵本を出版している。もちろんちょっとした仕掛けの絵本はいろいろなところからたくさん出ているけれど…。壊れやすいという観点から図書館にもあまり置かれていないので、個人が家で楽しむものになっているのだろう。

この絵本は見ての通りバス絵本。それも私たちに身近な路線バス。バスの通る道と、バスのなかに広がる光景を身近に感じながらついついページをめくってしまう作りになっている。バスの中と外に広がるドラマ。幼いころは今のように電車やバスに乗ることが殆どなく、特別なお出掛けで電車やバスに乗るのが嬉しかった。電車では運転手さんのいる一番前の車両まで歩いて行き、その運転を羨望の目でながめていたし、バスに乗ると自分が降りるバス停を知らせるブザーを押したくてたまらなかったのを思い出す。

 どんな年令の人も一度くらいは乗ったことがある(?)バスの中での、ひとこまを楽しい動きとともに描いている。日本では翻訳されていないと思うので、読みたい人は洋書を扱うお店の人に聞いてみるといいかもしれない。ちなみに私は新宿のルミネ1の中にある青山ブックセンターで見つけた。輸入ものなのでちょっと高いけれど、英語もそんなに難しくないし、絵と仕掛けだけでも充分楽しめるかなと思う。(文:やぎ)