「この本おもしろかったよ!」

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リンダ リンダ ラバーソール

大槻ケンヂ/著
メディアファクトリー
10数年前の深夜、音楽番組をみていた。
テレビの中、「高木ブー」の名をひたすら叫び、歌っている男が映った。「オレは高木ブーだよぉぉぉ」と絶叫し、両手を上げ、床に倒れ、曲は終わった。
曲名「元祖 高木ブー伝説」、あらためて詞を熟読すると哀しい歌なのだが、その時は容姿と詞のインパクトと、特異な才能の持ち主筋肉少女帯の大槻ケンジにただ釘付けになった。

この本は著者の自伝的小説であり、自分自身とその周りに存在した人々全て、バンドブームに巻き込まれ、翻弄されたバンドマンの話である。

あとがきに「こんなタイプの人に読んでもらいたい」とある。その一番目に「バンドブームの頃にちょうど青春時代だった人々」と書かれてあった。
私はまさにそれである。
バンドブームがなかったら、音楽(バンド)を好きにはならなかったし、東京にも出てこなかった。
このブームが自分に与えたモノは、本当に大きい・・・大き過ぎた。「過ぎ去ったあの頃のこと」としてこの本を読むことができなかったことが何よりの証拠で、哀しくなった。

私と同年代のバンドブームの渦中にいた人たちに是非読んでもらいたい。あの頃思い描いていた自分に、みんな近づいているのだろうか?(文:みなりん)