ぼく、グジグジ 台湾の新進絵本作家が贈る翻訳絵本
ぼく、グジグジ
 
 
チェン・チーユエン/ 作 宝迫典子/ 訳

274mm×192mm・32頁・定価1470円(本体1400円)
対象年齢4歳から/2004年9月中旬刊行

アヒルの巣の中へ、コロコロ転がってやってきた大きなたまご。かあさんアヒルは大切にあたため続けました。
やがて、たまごがかえる日がきました。

かわいい子どもたちが生まれました。
そして、最後にたまごから出てきたのは、全身あおみどり色のみにくいアヒル。ずっとグジグジ泣いているので、

名前はグジグジ。
一番目は、青い水玉模様のアヒル。
名前はクレヨン
二番目は、しま模様のアヒル。
名前はしまうま
三番目は、黄色い
アヒル。名前は
つきのひかり

かあさんアヒルは子どもたちに、泳ぎ方や歩き方を教えました。グジグジはもの覚えがよく、きょうだいの中で一番大きくて力もち。見ためが違っていても、かあさんアヒルは子どもたちを同じようにかわいがりました。
………。
そんなある日、グジグジにとてもよく似た動物が三匹、湖の中から出てきました。

「みてみろよ、アヒルのマネをしてよちよち歩いてるバカなワニがいるぞ!」

「ぼくはワニじゃない、アヒルだ!」グジグジが大声で言うと、ワニたちは大笑い。

「おまえがアヒルと暮らしているのは知っている。あす、アヒルを橋の上まで連れてこい。橋の下で口をあけて待ってるからな」
………。

グジグジはとても哀しくなりました。
「ぼくはアヒルじゃなくて、わるいワニなのか・・」

湖面に向かっておそろしい格好をしてみると、おかしな動物の姿がうつり、グジグジは思わず笑いました。

「ぼくはワニじゃない、アヒルでもない、アヒルワニだ。ワニがぼくの家族を食べようだなんて思い知らせてやる」
さて、このお話はどんな結末をむかえるのでしょう?

ワニは明日のごちそうにそなえ、歯を磨いて準備中。グジグジは、ワニをギャフンと言わせる方法を思いつくことができるのでしょうか?

愉快で頼もしいアヒルワニのグジグジが活躍するこの絵本は、家族や友だちと一緒に楽しめる、心温まるすてきなお話です。

作者より
この話は、私が外国人の友人たちと旅行したことがきっかけとなって作られました。

長い旅の途中、こんな話を聞きました。韓国人とアメリカ人のハーフの友人は幼いころ白人家庭の養子となり、その社会で成長しました。その間彼は自分が白人社会では歓迎されないのだという気持ちを何度も味わったそうです。

島国である私たちの国でも同じような問題は起こっています。私は台湾の子どもたちに広い気持ちで世界にのぞむ心を育んでほしいと思います。
生命の誕生はひとつの奇跡であり、尊重すべきものなのですから。
著者紹介
作者 チェン・チーユエン(陳 致元)
1975年生まれ。台湾で人気の絵本作家。

おもな絵本に『小魚散歩』『一個不能沒有禮物的日子』などがある。『小魚散歩』でイタリア・ボローニャ国際絵本原画展(2003年)に入選。
日本では『赤い花』(朔北社)が紹介されている。
訳者 宝迫 典子(ほうさこ のりこ)
高知県生まれ。埼玉県在住。

翻訳絵本は『たね、ぺっぺっ』(PHP研究所)やジミー3部作『君のいる場所』『君といたとき、いないとき』『地下鉄』(小学館)などがある。
中国政府認定茶芸師としても活動している。

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