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異能の画家
小松崎茂
その人と画業のすべて |
根本圭助/著 |
光人社
(光人社NF文庫) |
小松崎茂については、私同様年輩の愛好者も多いらしく、何冊か本が出ている。小松崎茂本人の画集もある。今ちょうど表参道で展覧会が開かれていると新聞に出ていた。
しばらく前、「大平原児」の復刻版を買って持っている。私にとって小松崎茂というとまず「大平原児」である。主人公のジムや、ウィリアム氏などという名前を今も覚えている。「大平原児」のあと、科学ものが印象に残っている。人工衛星や、巨大な宇宙船(光るロケットなど、当時話題になっていた科学知識を反映して書かれたもの)など。双胴般型の航空母艦など、よく思いついたものだと感心する。それからもうひとつ、独特のサインも忘れられない。とにかく、子供の頃は、小松崎茂や山川惣治の絵をまねして、どれだけ沢山の絵をかいたことか。
この本は、その小松崎茂の人と作品を抑えた筆致でまとめたものである。生い立ちから、一人前の絵物語作家、さらには科学、軍事関係のイラストレーターになるまでを、周辺の人物をたくみに織り込みながら描写している。平成5年に出た単行本を文庫にして出したものだが、私のような昔の愛読者がまだ多勢いるのだろう。このような文庫が出るわけである。
この本によって挿絵画家、絵物語作家、月刊誌週刊誌の表紙口絵画家、プラモデル箱絵画家と、数十年の長きにわたり第一線の画家として仕事し続けた小松崎茂を知ることが出来る。(文:宮) |
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