「この本おもしろかったよ!」
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あたしもびょうきになりたいな!

あたしもびょうきになりたいな!

フランツ=ブランデンベルク/作
アリキ=ブランデンベルク/絵
ふくもとゆみこ/訳
偕成社
以前一緒に働いていた同僚が風邪だったか、水疱瘡だったかなにか病気で数日会社をお休みした。その当時いた社員の人が洋書のこの本を見つけてきて、その中のエリザベスがベットにぐったりして寝ている場面をコピーして「はやくよくなってね」という英語のところを手書きで書き直して机のところにおいていた。こういう伝え方もあるんだなと心が温まったのを覚えている。たぶんこの本を出版したい!とその当初その人は思ったんだろうけれど、残念ながらすでに、1983年に偕成社から出版されていた。私も営業で書店を回っているときに偶然この本に再会して思わず買ってしまった。なんど読んでも飽きのこない絵本です。

お話は単純なんだけど、すごくよくわかる。特に子どもの時って、自分が一番かまってほしいからなあ。この絵本は病気になったときのお話。家族の一人が病気になってみんながせっせと世話をしてあげている。お母さんはベットまでご飯を運んでしてもらってるし、お父さんは早く熱がさがるように冷たいタオルをあててもらったり、おばあちゃんには本を読んでもらったりしている。みんなの視線が一度に病気の人に集中している。

けれどもエリザベスはそんなとき一人で出かける準備をしたり、いろいろなことを自分でしなくちゃならない。エドワードをみんなにかまわれているのがうらやましくて仕方がないエリザベス。病気になればエドワードみたいにみんなにかまってもらえるのに!とエリザベスは思います。ある日今度はエリザベスが病気になってしまいます。だけど、あんなにうらやましくてみていたのより実はちっともよくないことに気づくのです。元気に自分のことをしたり人のためになにかしたり自分の意志で自由に動けることの方が実はよっぽどいいってことに気づいたってお話。アリキの描くねこちゃんたちもなんだか表情が抜群です。(文:やぎ)