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マメな豆の話

マメな豆の話

吉田よし子/著
平凡社
(平凡社新書)
豆が主役の本書。副題に「世界の豆食文化をたずねて」とうたっているだけに世界中の豆たちが登場する。日本料理でもいろんな姿で登場するお豆さん。ゆでたり、甘く煮たり、炒って食べたり。中でも豆腐に納豆と、大豆の多様性と普及具合は興味深く、料理する人も、食べるのが好きな人にもおもしろく読める内容に違いない。とくに納豆文化に関する項目がおもしろい。アジアにおける納豆の分布は幅広く、ネパール、ブータン、ミャンマー、タイ、韓国、日本と納豆が存在する。ただ大豆を発酵させて、その後納豆になるまでの加工はさまざまである。塩や香辛料で味付けしたり、干してせんべいにしたり。その地域を訪れたら、ぜひこの目で確かめてみたいという興味も湧いてくる。

著者は、アジア、熱帯地域を中心に歩き回って出会った豆たちの種類や性質を、丁寧に調査し、紹介しているが、ひとつ気になったのは、ペルーのリママメを日本で生産できないのは残念とぼやいている点。日本の環境でもじゅうぶんに育つらしいが、遺伝子破壊などの恐れはないのだろうか。単に著者がリママメはおいしいから日本でもつくろうよと言っているだけにすぎないような印象を受けた。もう少し深くつっこみたくなる部分もちらほらあるが、普段の食生活にさりげなく登場する豆たちの輪が世界中に広がっていることを認識でき、豆への愛着も深まるかもしれない。マメ知識もじゅうぶんつくよ。(文:かわら)