第二次世界大戦が終わって50年経つが、その半世紀の日本の政治小史である。著者は長年朝日新聞の政治記者として健筆を揮ってきた。私は愛読者の一人であった。
著者と私は年令に10年のひらきがあるがともに戦後の政治史は、自分の人生と同時進行してきた出来事である。著者は、その渦中にあった人だが今は、すこし外に出てこの小史をものにした。
ところで、どんな大事件の起きた時代に生きていても、その時代に生きていたというだけでは、事件の姿も、ましてや意味も理解できない。同時代の歴史というのは、直接見知った事柄プラスいろいろな手段で得た多くの知識によって、初めて少しづつ分かってくる。
本書は、この50年間の政治史を考えるときにコンパクトな導き手である。誠実穏健な筆致は信頼するに足る。(文:宮) |