もともとこの本を手に取った理由は、「原敬を暗殺したのは中岡慎太郎の孫だった!」という新聞の書評記事の一文を読んだからだ。中岡慎太郎に孫がいたのか?という単純な驚きと、当たり前の事だが確実につながっている歴史のおもしろさに興味を持った。幕末など遠い、遠い昔のことのように思っていたが、よく考えれば130年程前のことにすぎないのだ。坂本龍馬好きの為、今まで幕末・明治維新ばかり興味を持っていたが、そこから始まる近代史もかなりおもしろいはずだ、という思いを胸に読み始めたこの本は本当におもしろかった。
明治・大正に起こった20の事件を、事件記者だった著者がその現場に訪れ、新たな検証を試み、現在の様子や事件後の事実も含め、一つ一つの事件に関してかなり濃い内容を記している。ここにでてくる事件は、「板垣退助遭難」「伊藤博文暗殺」等、知ってるものもあったが、たった100年程前の出来事なのに知らないものも多かった…。ほとんどの事件に関しては綿密な資料が残っているようで、見取り図などを用いての本文はとてもわかりやすく、そういう面からも事件について詳しく知ることができおもしろい。この本で取り上げられた事件だけではなく、虐殺、暗殺、暴動、殉死、心中など、人生というものは時に残酷な結末を用意しているものだ。だからこそ、知りたいと思う私は変わっているのかもしれない。人の一生は結局最期までわからないものだからこそ、おもしろいのだ!!
私はいま、日本の歴史を知りたいと思う。かといって、学生の頃、そんなものに興味はほとんど持たなかった。持ったとしても、NHKの大河ドラマでやるようなものすごくメジャーな人物くらいだった。何年に何があったというだけの薄っぺらな上辺だけの教科書よりも、一つ一つの出来事にもっと興味を持てるようなこんな本が教材だったら、授業も少しは楽しかっただろうなと思うのです。(文・みなりん) |