この本は、うさぎのじいさんが、かわいい孫娘にあてた本になった手紙のようなものである。この本を私は、うさぎじいさんの孫娘になった気分で本を読んだ。じいさんが、今まで生きてきた経験から、語っているのでしみじみしてしまう。
例えばこうだ。「夢を見るなら、大きな画面で、カラーの夢をみること」だったり、「仕事をするようになったなら、心をこめて、力と知恵をかたむけて、やる気まんまんにとりくむこと」「恋をするなら、恋とは、おどろきとよろこびにみちた、こわれやすいもので、耳の先から後ろ足の先まで、とりこにされてしまうということを、わすれないように」だったりする。なんじゃこりゃ、うーむ、私にも為になることじゃないかーが、ちりばめられているのであった。
設定がうさぎになっているので、ところどころ?と思うところもあったが、さらに自分がウサギのつもりになるのならもってこいである。昔話や、生活の知恵など、年長者からはなしてもらうという経験は、昔は大家族で1つの家に住んでいたころは、よくあった事なのだろうと思うが、今は、先生や親、上司のいうことさえも、耳を傾けなくなっていないだろうか(社長、ごめんなさい)。言っても無駄だとあきらめ、言わなくなっているということもしばしばあるようだが、むしろ言うことは後になって、なにかの役に立つことというのが結構あるようなので、言って置いてソンにはならないと思っている(聞くことも)。
実際、年長者の話にはなにか深みがあって面白い。私自身、親に言われていたことを、今になってああ、あの時のあのことは、こういうことなのかと思い出したり、関心したりすることがあった。経験から学んだじいさんの言葉に絵本ではあるが、なにか大事なものを受け取った気分になってしまった。子どもむけに作られた本なので、字も大きいし読みやすい。ちょっと疲れたときなどにじいさんの孫になって読んでみるのはいかがでしょう。(文:やぎ) |